まず、貴社の会社概要について教えてください。
渡辺様:OKIは「社会の大丈夫をつくっていく」をキーメッセージに、企業の生産性向上から公共の安全まで様々な商品やサービスを通じてより豊かな社会の実現に取り組んでいる会社です。
身近な例を挙げると、ATMやセルフレジ、空港にあるチケットのチェックイン端末は弊社で作っているものも多いですが、実は、飛行機の航空管制システムやETCの関連システムにも携わっています。
生活者には見えにくい部分を作っているのですが、少しでも止まるとニュースになってしまうような影響力があるものもあるので、使命感を持って取り組んでいます。
お2人はどのような領域をご担当されているのでしょうか?
下河内様:戦略企画室採用戦略チームに所属しています。『OKIのファン作り』をミッションとし、2025年の4月に新設されました。
rayoutご支援前の状況についてお聞かせください。
下河内様:『OKIというブランドをどう伝えていくか?』が課題でした。
歴史ある会社なので一定の認知度はあるのですが、選考を辞退されてしまったり、「企業名は知っているけどよくわからない」という人が多いように感じていました。
採用は年々どの企業も厳しくなっているということは経営層も認識しており、会社全体として危機感も高まってるのが現状です。従来を踏襲するだけでなく先を見越して手を打つ必要性を感じていましたが、出遅れないように手を打つことが優先となってしまっており、悩んでいました。
渡辺様:近年は売り手市場で就活の早期化も進んでおり、『自分が知っている企業』で完結してしまう動きは感じていました。
弊社は製品に触れられる事が少ないですし、製品をみても社名が出ていないこともあるのでOKI自体を知る機会も限られており求職者に魅力を感じてもらう機会が少ない。そのような中で、入社後のイメージができて、心から「入社したい」と思ってもらえる会社にしていきたいと考えていました。
入社前に深く知ってもらうことで、入社後のミスマッチも減りそうですよね。それでは、rayoutが行ったご支援内容について教えてください。
渡辺様:まず現状の棚卸しを行い、課題を定義しました。どういう人を採用したいのか、どんなところが弊社の価値として提供できるのか等、もやっとしていた部分の壁打ちをしていきました。これまではゴールの共通イメージがなかったので進まなかったのだ、ということを認識できましたね。
弊社からもカルチャーをまとめたシートを共有したのですが、皆がそれぞれ感じていることを言葉にしきれておらず、rayoutさんに入っていただいたことで全員が再確認する機会になりました。「一緒に解決していきましょう」と親身に相談に乗ってくれる一体感を感じましたね。
その結果、オウンドメディアを作ることが決まりました。
下河内様:もともとOKIの印象や社風、働き方を”感じとれる”媒体として、オウンドメディアを作ることは検討していました。公式のYouTubeチャンネルもあるのですが、採用からの発信はできていなかったですし、発信を集約するハブとして他のプラットフォームの必要性を感じていたんです。そこでrayoutさんにも相談したところ、解像度高くストーリーを知ってもらう手段としてのオウンドメディアの意味や価値を教えていただけたので、この施策に決めました。

【担当者・堀井より】
社内でカルチャーの言語化が出来る人が少ないことがもったいないと感じていました。また、大きい企業だからこそ、他の部署や拠点にどういう人がいるのか知られにくい現状も。
ゆくゆくはオウンドメディアが採用だけでなくOKIの様々な魅力を知ることができる社内報のようにもなっていくと良いなと考えています。
入社前だけでなく、入社後も会社に愛着を持つところまでが『カルチャーフィッティング』だと考えています。
今回の施策ではその点を網羅することができれば、OKI様の魅力が外部にも内部にも循環していくと考えています。

技術者の方が自分から積極的に発信する機会は少ないですが、いろんな想いや誇りを持って働かれていると思います。それが伝わりきらないのはもったいないですよね。
下河内様:はい。誰にどんなものを見せたいかを考えたときに、今までのOKIの良さだけではなく、「これからより挑戦していきたい」という思いも大切な要素だと思ったんですよね。
そうなると、『チャレンジをしている人』という観点がキーになってくる、というお話になりました。その視点で考えたときに、「あの人もいるね」「この人もいいね」と私たちも気付かされたんです。
具体的に考えていくと、“OKIらしさ”だけど、ある意味”OKIらしくない”部分も出るような、面白いメディアになる気がしました。
渡辺様:そうなんですよね。OKIは日本の歴史がある会社にありがちなお堅い・女性が働くイメージがわかないと思われがちですが、イノベーションを起こす会社、女性も活躍している会社だということを訴求できるように意識して、rayoutさんと制作を進めています。

今回の施策は採用向けだけでなく、社員にとっても新しい発見がありそうな施策ですよね。
下河内様:社内にいても、事業が多すぎて知らなかったり、チャレンジしている人が目立たなかったりするので、他部署の事業や面白い社員を知ることで、「私もチャレンジしてみよう」という気持ちに繋がれば良いなと思います。
渡辺様:社員にも「OKIって良いよね」とOKIのファンになってもらうきっかけにしたいと思っています。「動画に出てみたいな」という社員が増えたら嬉しいですね。
ちなみに、撮影前の出演者との打ち合わせ時には、rayoutさんが丁寧にオウンドメディアの世界観やOKIの提供価値などを説明してくださいました。撮影側のプロとしての目線でバックグラウンドから関係構築をし、どうやって映像の中に魅力を発信するかを見てくださっていたんですよね。
下河内様:私は、出演者への依頼の段階でも社内に良い影響を感じていました。
各地区にいる人事チームに「推しを教えてください」と相談したところ、前向きに選出してくれる部署が多かったですし、特に若手の社員はすごくポジティブで、「こういうこと発信したいですよね!」と意見をくれたり。若手が前向きになる1つのコンテンツになりそうだと感じられました。今後にも期待ですね!
【担当者・堀井より】
OKI様の魅力をしっかり伝えたいと思ったので、私も打ち合わせに参加して出演者の方にプロジェクトの意図をしっかり伝えたいと自然に思いました。
人事の方に協力していただいて出演者候補を募ったのですが、すごく沢山の方の名前を挙げていただいて驚きました。それだけOKI様の魅力がまだまだたくさんあるんだと改めて感じました。
クリエイティブPMの進行、機動力はどうでしたか?
渡辺様:いろいろなオーダーにすぐ対応してくれたのが印象的でした。一番大きな出来事で言うと、オウンドメディアのテーマをガラっと変えていただいたことがあったんです。そのときもスムーズに進めてくださり、本当に…感謝しかないです。
下河内様:そうですね。デザイン等も全て仕切り直しになってしまったのですが、改めてすり合わせを行っていただけました。納得のいくコンセプトにハマったときは、みんなで拍手をしました!
完成されたクリエイティブのクオリティはいかがでしたか?
下河内様:オウンドメディアのサイトは、音波をイメージした動きやあたたかい色味など、ページ全体の世界観をすごく素敵に作っていただきました。画像と言葉がリンクしていますよね。何パターンか案をいただいて、その案を合体させてこのデザインになりました。
渡辺様:その世界観を大事にしながら、動画の方でもサムネイルやBGM、テンポ感なども統一されているので、気持ち良く見ることができますね。
社内で話し合うだけだと、学生の内発的動機や魅力的なコンテンツの軸に関しての気付きが少なかったのですが、ペルソナの策定から認知→興味関心という要素をどう動画に発散していくか、今までに考えたことない切り口での仕掛けで動画にしていただけました。
制作進行時には弊社ツールのCheckBackをご利用いただいていますが、どのような場面で使っていただいていますか?
渡辺様:データのやりとりだけでなく、基本的な連絡もトーク機能を使って進めています。
プロジェクトに入ってる人全員がトークもデータも見られるのが便利ですね。資料などの関連データも一緒に格納しているので、CheckBackでプロジェクトの情報が完結しています。
下河内様:動画とかファイル系をダウンロードしなくても確認できるのはすごく助かっています。チリツモでかかっていた時間が削減されて、精神的にも楽になりました。
しかも動画を簡単に共有でき、それぞれが直接コメントも入れられるので、出演してくれた社員にも確認が取りやすいですね。
セキュリティの制限もできるので、見られる人を絞ることも可能なのもすごく助かります。

ご活用いただけているようで良かったです。色々と課題から施策までお伺いしましたが、OKI様と同じような境遇の企業も多いと思います。是非アドバイスをお願いします。
下河内様:「悩んでいる」って何かを変える種だと思います。それを共有・共感できる仲間を増やしていき、点ではなく面で攻めていくことは重要だと感じています。
それと、自社の”らしさ”を知るだけでなく、”らしくない”ことから攻めていくのもありだと今回で気付きました。それで出てきたものが、本当に求められているものかもしれません。
裏表の部分でコンセプトや方向性を見ていくと、面白いものが出てくる気がします。
ありがとうございます。最後に、採用戦略チームが目指す姿について教えてください。
渡辺様:自然と全社員に”推し(社員)”がいる状態にしたいと思っています。全員が全員同じ人を好きになるわけではない中で、いろんな社員を知って、「この人面白い」と思い合えるのがファン作りかなと考えています。
社外からも、企業の名前ではなく社員名が先に出るような環境にしていきたいです。
下河内様:ここで築いていきたいのは『ポジティブなパワー』だと思っていて。OKIが今置かれている状況って楽ではないですし、タフな場面も出てきます。その中でも一緒にやっていきたい、やってもらいたいとポジティブに思い合えるのがファン作りの大事な要素だと思っています。
「大変なんだけど皆で航海をしていくんだ」というメッセージを発信して、会社のエネルギーにしていくという循環を生めたらいいですね。



