本事例では、東京メトログループで商業施設事業を担うメトロプロパティーズが、採用市場の変化に対応するため、動画制作を起点とした採用広報の再設計に取り組んだプロセスについて伺いました。短期集中型の採用活動から通年設計への転換。その背景と実践の中で、どのような価値が生まれていったのかをお伝えします。
クライアント:株式会社メトロプロパティーズ 様
支援内容:スポットPM:採用広報設計/動画制作支援
| 東京メトロの駅ナカ・駅チカ商業施設の運営を担うメトロプロパティーズ。エチカやエソラをはじめとする施設を通じて、沿線価値の向上に取り組んでいます。 今回お話を伺った松永様は、総務・人事・労務を中心に、給与計算や社会保険手続き、IT機器の管理、採用業務まで幅広く担当されています。社員約80名、アルバイト約200名を抱える組織の中で、採用も兼務されている立場です。入社された当時は50名規模だった組織が拡大する中で、採用市場の変化にも直面されてきました。 本事例では、採用市場の前倒し化や母集団形成の難化という背景のもと、動画制作を起点とした採用広報の再設計にどのように取り組まれたのか、そのプロセスについて話を伺いました。 |
短期集中型の採用が通用しなくなった背景
まず、松永様の現在の業務内容について教えてください。
総務・人事・労務がメインで、給与計算や人事制度改正、IT機器の調整なども担当しています。採用もその一つです。担当内には私の他に社員が一人と派遣社員の方が一人いますが、日々の業務はかなり幅広いです。予算づくりのための情報収集なども行っています。

採用市場の変化を感じ始めたのはいつ頃でしたか。
12年前は説明会を開催すると1回に100人ほど集まり、エントリーシートも200件近く集まりました。それがここ5年ほどで大きく変わりました。同じことを同じ時期にやっても、1回あたり20人ほどしか集まらないこともあります。
その変化の背景をどう捉えていたのでしょうか。
最初は少子化の影響かと思いましたが、各社の選考前倒しやインターンの活発化など、市場全体の動きが早くなっている影響も大きいと思います。こちらが動き出す頃には、すでに他社の選考が進んでいる。短期集中型ではもう難しいと感じるようになりました。その中で、目の前の選考対応で手一杯になり、次年度の準備が後手に回るという構造的な課題がありました。
採用市場の変化が突きつけた学生とのコミュニケーションの壁。「出す」から「届く」への転換
さまざまな採用サイトも活用されていたとのことですが、手応えはいかがでしたか。
従来から活用していた採用サイトや口コミ型のプラットフォームも試しました。ただ、掲載していても面接時に「サイトを見て来ました」という声は年々減っていきました。掲載はしているものの、志望動機につながっている実感を持ちづらい点に課題を抱えていたんです。
その中で動画に注目された理由は何だったのでしょうか。
社員の一日や座談会など、学生からよく聞かれる質問はある程度決まっています。それを動画にすれば、ある程度の情報は事前に伝えられる。動画で一定の理解を促せれば、選考の場では会社との相性や志向性について、より本質的な話ができるのではないかと思いました。
自社で制作することを検討された背景についてもお伺いしたいです。
採用媒体のサービスの一環として動画を制作する選択肢もありましたが、掲載期間やフォーマットに制約がある点が気になっていました。長期的に活用できるのかという視点で考えたときに、どこまで費用をかけるべきか迷いがありました。ただ、動画制作自体には取り組みたいと思っていたので、単発施策ではなく長期的な活用をするには、どう設計すればよいのか整理できていない状態でした。

rayoutとの議論の中で見えてきた、施策比較から設計比較への転換
採用動画を導入するにあたってどのように整理を進められたのでしょうか。
まず去年うまくいかなかった理由と、今回の設計の違いを明確にしました。制作費の比較にとどまらず、「短期集中型から通年設計へ」という構造の違いを説明できるように準備しました。そのプロセス自体が、会社として採用の方向性を改めて見直す時間にもなったのだと思います。
具体的には、どのような点を整理されたのでしょうか。
前年の施策は、媒体を利用している学生に向けての掲載をしており、単年度で完結する取り組みでした。一方で今回は、動画を資産として残し、通年で活用できる枠組みにしたいと考えていました。その違いを、費用対効果だけでなく「活用期間」「柔軟性」「社内運用負荷」といった観点から整理しました。決裁者にとっても比較しやすい材料をそろえる必要がありました。
実際に進めてみて、どのような点に価値を感じていますか。
動画制作の費用感ももちろん判断材料の一つでしたが、初回の打ち合わせの中で、動画単体だけではなく、採用ページや広告導線なども含めて一緒に考えていける可能性を感じました。まずは動画からのスタートでしたが、採用施策全体を見据えて伴走してもらえる点に魅力を感じました。
採用は基本的に一人で担当しているため、どうしても人手が足りません。単発の制作依頼ではなく、採用課題に対してまるごと一緒に考え、推進していける存在がいることは心強いと感じています。動画を作るだけでなく、その先を一緒に精査できる点がありがたいです。
会社説明会を“単発の場”から“通年で活用できる仕組み”へと見直す
現在制作中の動画はどのような構成ですか。
全部で5本です。これまで説明会で話していた内容を分解するイメージです。社員の一日紹介、座談会など、よく聞かれるテーマごとに切り出しています。

なぜそのような形にされたのでしょうか。
二次面接後に先輩社員と話す時間を設けていますが、何度も来るのは学生にとって負担です。動画で事前にある程度伝えられれば、もっと詳しく聞きたい人だけが来られる。「自分の手と学生の手をどれだけ楽にできるか」という発想でした。
制作過程で印象的だったことはありますか。
弊社の意図をそのまま形にするのではなく、「それは学生に伝わりにくいのでは」といった指摘もありました。こちらからも、「業界用語になっていないか、他業種の方でも理解できる言葉か」と確認したり、客観的に見てもらえるのはありがたかったです。毎週の定例で進行が止まらない点も助かっています。
今回の支援によって、ご自身の業務感覚に変化はありましたか。
これまでは一人で黙々と進めている感覚がありました。一人だからこそ、後回しにしてしまっていた部分もあります。
現在は、一緒にやりたいことを具体化してくれる存在がいることで、次の目標を立てやすくなりました。伴走してもらう形でないと進まなかった部分もあったと思います。
社内の方の反応も気になります!
完成した動画は社内チャットで共有し、社員からもリアクションがありました。先日公開した『PM業務一日密着』の動画は多くの社員が見てくれています。
通年設計への移行。これからのメトロプロパティーズの採用広報とは
今回の制作進行では、rayoutのフィードバック管理ツール「CheckBack」を活用いただきました。実際の使い心地はいかがでしたか。
上司はITリテラシーが高いこともあり、問題なく使えていました。修正指示や履歴が分かりやすく、やり取りがスムーズでした。
実務上のメリットは感じられましたか。
メールでのやり取りよりも整理されている感覚があります。どこを修正するかが明確で、確認作業の負担が減りました。
最後に、今後の採用広報について、どのようにお考えですか。
動画を作って終わりではありません。どう学生に見てもらうかが次の課題です。メトロプロパティーズという社名をどう認知してもらうか。エチカやエソラは知られていても、それを運営している会社としての認知はまだ十分ではありません。
具体的に検討していることはありますか。
採用ページの整備設計です。コーポレートサイトは大きく変えにくいですが、採用専用ページで動画を活用できれば効果があるのではないかと考えています。その実現に向けて、rayoutと相談しながら方向性を調整しているところです。

また、今の学生が何に興味を持ち、どのような情報に反応するのかといったトレンドの情報交換の機会も大切にしています。自分たちだけでは得づらい視点を取り入れながら、どこに予算を投下すべきかを検討中です。
短期集中型から通年設計へ。まだ途中段階ではありますが、採用を仕組みとして捉え直す視点を持てたことは大きな変化でした。今後もrayoutと議論を重ねながら、状況を整理し、採用の仕組みをアップデートし続けたいと考えています。
