1人で抱えるマーケ担当者が業務を分担する前にやるべきこと プロが教える「N-1インタビュー」と価値の言語化 

記事
鈴木 克弥

「一人で設計から調整、進捗管理まで抱えて、もうパンク寸前です……」

先日、事業立ち上げ期のマーケティング推進を担う担当者の方から、切実なご相談を受けました。
マーケ責任者の直下で、制作会社への外注、広告運用、エンジニアとの連携までをたった一人で回しているとのこと。

これをお読みのあなたも、似たような状況に陥っているのではないでしょうか。

  • 各部署への根回しに時間が溶け、本来の「戦略設計」に手が回らない
  • 「自社の価値の言語化」や「KGIからの逆算」が重要だと分かっているのに後回しになる
  • 結果として費用対効果を上長に説明できず、意思決定の根拠が弱くなる

私たち、プロの「PM」がこの状況を見たとき、課題の根本はただの「リソース不足」ではないと考えます。
それ以前の本当の課題は、「ターゲットに選ばれる理由(提供価値)」が未整備なため、施策ごとにメッセージがブレており、横串を通す“軸”がないことにあるのです。

これでは施策を複数回していくことも、今後チームで役割分担することもできません。

では、私たちならこの状況をどう打開するのか?
その最大のカギとなるのが、「N-1インタビュー」を通じた価値の言語化と体制構築です。

判断軸が明確でないと周りも自分も動けない

いきなり「業務を分担しましょう」と言ったとしても、判断の“軸”がなければ誰も動けません。
まずは以下の「目指す状態」を明確に定義します。

  • 【訴求軸の確立】 顧客への提供価値を言語化し、全施策に一貫した「横串」を通す。
  • 【可視化の徹底】 マーケティング全体の費用と歩留まりを見える化し、予実管理を整備する。
  • 【役割の再定義】 担当者が「設計・判断」に集中できるよう、調整・遂行をチーム体制で担保する。

今回のお客様の場合は、この状態を作るための第一歩である「顧客への提供価値の言語化」がまず出来ていなかったのです。

これが結構「あるある」な状態!
他のお客様も最初にこの工程をしっかり行います。

それはどのように進めていくのか?それが、「リアルな声」を聞くプロセスです。

提供価値の言語化って?:N-1インタビューの実践

次のようなアプローチで「勝てるポジショニング」を作り上げます。

① 仮説構築(STP分析)

まずは外部環境や競合を分析し、「自社が狙うべきターゲット層」と「訴求すべき強み」の仮説を構築します。
(例:中長期的なキャリア支援に強い、特定業界へのパイプがある、など)

② 検証(N-1インタビューの実施)

構築した仮説が現場の肌感とズレていないか、実際のロイヤル顧客(N=1)や、成果を出している社内メンバーへインタビューを行います。

今回のように最終的に「言語化」に落とし込みたい場合は、多数の浅い声を数字で集める(=アンケート)のではなく、感情や文脈を含めたたった1人の深い声(=N-1インタビュー)を聞くことが重要になります。

【POINT】「順番」を間違えない 

いきなり顧客に話を聞きに行くのはNGです。ブランド側が無意識に大切にしてき価値基準を整理しないまま顧客の言葉を受け取ると、「どれが本質的な意見か」を見失います。

  1. まずは社内(提供者視点): 「なぜこのサービスを続けているのか」「どんな判断を“やらない”と決めているか」などを掘り下げる。
  2. 次に顧客(利用者視点): その仮説を持って、「なぜ他社ではなく自社を選んだのか」「人に勧めるとしたらどう説明するか」の“本音”を引き出す。

一人の顧客の感情や価値観を深く理解することで、同じ属性の多くのお客様に共通する「共感ポイント」が浮き彫りになります。

③ 言語化 / 実行への展開

インタビューから得られた事実(ファクト)をもとに、ターゲットの心にまっすぐ届く“売りの一言(コアバリュー)”を言語化します。

これをブレない軸として、広告クリエイティブ、LP、登録後のコミュニケーションなど、すべての顧客体験に通していくのが設計の肝です。

N-1を起点にすることで、 ターゲットの心にまっすぐ届くコンセプトが作れます。

N-1を起点に軸ができると、何が変わるのか?

このプロセスを経て提供価値が言語化され、各施策に横串が通ると、担当者の状況は改善していきます。

・経営層、上長への説得力アップ

「何にいくら効いているか」を根拠を持って説明できるようになります。

・本来の業務に集中できる

共通の認識ができるため、調整や遂行の負荷が下がり、時間を「戦略設計」に充てることができます。

・成果への直結

「有効なエントリー」を軸に改善が進むため、承諾数や集客目標の達成スピードが上がります。

・チーム全体の連携強化

施策の方向性が共有されるため、ベンダーや他部署との連携ロスがなくなります。

日々の調整業務に追われ、「打ち手がバラバラになっている」と感じた時こそ、一度立ち止まって「一人のお客様」と向き合うタイミングです。


自社だけでN-1インタビューを進めるのは難しそう……
インタビューのあとのコンセプト設計が不安……

そんな方は推進役を外部に持つのも手です。

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自社の体制や施策が今どの状態にあるのか、まずは整理・診断するところからでも構いません。
お気軽にご相談ください。

執筆者

鈴木 克弥

鈴木 克弥

PMO事業本部 第一PMOグループ グループマネージャー

2024年入社。自社PMツール「CheckBack」の責任者としてsaas事業の成長をけん引したのち、PMO事業本部 第一PMOグループ グループマネージャーに就任。
マーケティングに関するプロジェクトを多く担う。

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