人事部が動かない?現場に任せきれない経営層に必要な仕組み作り 経営層の意思決定を実行に変えるには?

記事
馬場 航

「自律した組織を作りたい」と願い、ビジョンやコアバリューを掲げたはずが、気づけば自分たちが一番手を動かしている……。
そんな孤独な奮闘を続けている経営層は少なくありません。

組織が拡大しようとする過程で必ず直面する様々な人事施策。
「人事部に任せきれていない」という声をよく聞きます。

経営の意思を実行へと変換する「仕組み」はどうしたら構築されるのでしょうか。

採用が「穴の開いたバケツ」になっている 

経営者が放っておけなくなるプロジェクトのうちの一つに「採用」があります。

経営層は
「理念に共感し、自社色に染まってくれる未経験の若手」
を育てたいと願い、現場は
「明日から手がかからない経験者」
を欲しがる。

このペルソナの不一致を解消しないまま採用を進めると、入社後に「こんなはずじゃなかった」と早期離職が発生します。

1人あたり100万円単位の紹介料や教育コスト、そして面接工数が、成果に繋がらずに消えていく……。

これは組織にとって最大の損失です。

このように、現場との理想の乖離が起きていませんか?

「動かない」のではなく「動かし方」がわからない 

「ビジョンに向かって各部署で進めてほしい」と伝えても、リーダーたちの手は止まったまま。
現場も、日々の実務や部下の管理などでキャパシティが限界なのかもしれません。

限られた時間の中で、経営の「抽象的な指示」を現場の「具体的なアクション」に落とし込む余裕もスキルもなく、新しい施策は常に後回しにされます。

結果として、痺れを切らした経営層が自ら旗を振っている……なんて状況、よくあるのではないでしょうか。

施策が「バラバラ」に動き、相乗効果が生まれていない 

  • 採用は人材紹介会社
  • サイト制作は制作会社
  • SNSは広報
  • 健康経営は総務

……といった具合に、各施策が部門やベンダー単位で個別最適化されていませんか?

経営層が思いついた施策をそれぞれの担当者に直接振り分け、それぞれが独立して動いていることが多くあります。

こうなると、採用サイトで語る魅力と、実際の現場での働き方にギャップが生じる。
あるいは、福利厚生の施策がビジョン達成に紐づいていない。
全体を貫く一貫した設計がないため、投資の割に組織としての推進力が生まれていません。

本質的な課題は、経営と現場の間に「推進の軸」がないこと

これらの問題の根底にあるのは、経営層の「想い(意思決定)」を拾い上げ、現場を巻き込みながら形にする「実行推進役(PM)」の不在です。

経営者は「何をすべきか」を決め、現場は「実務」をこなします。
しかし、その中間にある「施策を企画し、優先順位をつけ、KPIを管理し、実行を回し続ける」という機能が、今の組織には欠落しているのです。

経営層がPMに任せるべきこととは?

ではそのPMは、経営層が現場のタスクを手放し本来の「判断と戦略」に集中するために、何をしていけば良いでしょうか?

①経営と現場の「合意形成」の再構築

採用一つをとっても、現場の声を反映させながら「なぜ選ばれるのか」を再定義し、経営と現場が同じ基準で人を選べる状態を作る必要があります。
これは経営層でも現場でもない、PMが行うべきです。

離職理由の整理や社員インタビューなど、情報を収集した上で話し合うと、納得度の高い合意形成ができます。

経営層と現場の徹底的な目線合わせをし、納得できる共通認識を作ることは、どのようなプロジェクトにおいても先決です。
それにより、それぞれが自走できる体制を作ることができます。

②会議をタスク振り分けの場にする

PMは定例会議に伴走し、施策の優先順位をつけ、細かく実行の進捗を管理します。

それだけでなく、経営者の頭の中にある方針や施策を即座に具体的なアクションプランへ落とし込み、各担当者にタスクとして割り振りましょう。

これで、経営層は定例会議で上がってきた報告に対して「GOかNOか」を判断するだけで済む状態を目指します。

③各施策を一つの流れとして統合管理する

バラバラに動いていた採用、組織開発、広報などの施策を、一つの軸で統合し、全体として一貫した設計・運用をしていきます。

施策ごとではなく、プロジェクト全体の目的やコンセプトを設定し、個々の施策の判断軸を統一することで、最終的な成果に結びつきやすくなります。

この作業は部署を横断することも多いため、PMが旗を振って行う必要があります。

経営者が「判断」に集中できる組織へ

組織を変えるには、1年程度のスパンでの「実行の継続」が不可欠です。
短期的なコンサルティングでは、経営層が離れた瞬間に元に戻ってしまうからです。

「自分がやったほうが早い」という誘惑は、経営者にとって最大の敵です。
あなたが現場の火消しをしている間、会社の未来をつくる戦略は止まったままになっています。

今、あなたの組織に必要なのは、新しいリーダーを探すことでも、社員を鼓舞することでもありません。
「経営の意思を、確実にアクションに変える仕組み(PM機能)」を実装することなのです。


とはいえ、「PMを任せられる人がいない」という状況もありますよね。
そのような場合は、外部にPM機関を持つことも手です。

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自社の体制や施策が今どの状態にあるのか、まずは整理・診断するところからでも構いません。
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執筆者

馬場 航

馬場 航

取締役 │ PMO事業本部 事業本部長

2020年3月にボードメンバーとしてrayout株式会社に参画。コミュニケーションデザイン事業部の責任者として事業成長を牽引し、同部門を5億円規模まで拡大。現在は、社内プロジェクトの遂行を支援するPMO事業部の本部長を務め、これまでに500社・2,400件以上のプロジェクトに伴走している。

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