なぜ新しいシステムは現場に使われないのか?システムではなく「人」を動かし、定着させる仕組み作り

記事
鈴木 克弥

「新しいシステムを導入すれば、業務は必ず効率化され、会社は変わるはずだ!」

そう信じて多額の予算と時間をかけプロジェクトを進めたものの、いざ蓋を開けてみると、現場が新しいシステムを使ってくれず、結局これまでの慣れ親しんだエクセルやスプレッドシートでの運用に戻ってしまった……。

そんな苦い経験をお持ちの企業は少なくありません。

導入直後は現場からのクレームや問い合わせ対応に追われ、定着するまでに想定以上の時間がかかり、プロジェクト担当者自身が疲弊しきってしまうこともよくあります。

こうした状況に直面して、多くの担当者はようやく一つの真実に気付きます。
実は、システム導入プロジェクトにおいて最も大変なのは、システムを構築することそのものではなく、それを使う「人」の心を動かし、行動を変えることなのです。

今回は弊社もご依頼をいただくことが多い、システム導入と社内浸透施策について、プロジェクトを進行する『PM』が行うべきことをお伝えします。

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システム導入は「完成」がゴールではない

一般的なシステム導入プロジェクトでは、要件定義から始まり、ベンダー選定、システム開発、動作テスト、そして本番リリースといったシステム構築のエンジニアリング工程に多くの時間とリソースが割かれますよね。

しかし、本当にプロジェクトが成功したと言えるのは、システムを使う各部門が、共通の業務ルールとデータを用いて業務を遂行できる状態をつくり、それを現場が納得して受け入れたとき。
みんなが新しい業務運営モデルを前向きに活用している状態になって初めて 、システム導入プロジェクトの成果が生まれます。

最初はそうわかっていても、導入した達成感で満足してしまっていませんか?

「導入後に浸透を考える」では遅い理由

多くの企業では、
「システムが無事に完成したら、使い方の説明会を開こう」
「操作マニュアルを配布すれば、皆わかって使ってくれるだろう」
と、開発が終わってから現場への展開を考えがちです。

しかし、その頃には現場の間に『新しいシステムへの不安や疑問』がすでに大きく膨らんでいます。
なぜ今のままでは事業運営に耐えられないのか、今回のシステム導入でどのような価値が実現するのか……
何が便利になり、逆にこれまでやってきた業務の何をやめなければならないのか……
さらには、新しい環境下で自分たち現場に求められる新たな役割は何なのか ……

こうした現場の根源的な疑問を解消できないままリリース日を迎えてしまうと、現場にとってそれは「便利な新しいシステム」ではなく、「新しい業務負担」としか受け止められません。

浸透は、導入を進める段階から始まっている

本来、現場への浸透施策は導入が終わってからの仕事ではありません。
実は、浸透を考えなくてはいけないのは、要件定義や業務整理を進める初期段階から。
どの部署のどんな業務に影響があるのかや、現場はどこでつまずきそうかだけではなく、どのタイミングでどんなメッセージを伝えるべきか、各部門で旗振り役となるキーパーソンは誰かを常に見据えながら進める必要があります。

このとき重要なのは、現行の業務を頭ごなしに否定しないこと。
現場がこれまで培ってきたやり方が生まれた背景や、そこにある独自の工夫を丁寧に理解したうえで、どの業務を標準に統一し、何をやめるのかを整理しなければなりません 。

また、各部門に新しい業務を先行して理解するキーユーザーを配置・育成し、プロジェクト終了後も現場内で自律的に説明や改善を行える体制を構築しておくことも、導入と浸透を一体化させるカギとなります。

経営の『変革意図』を現場の『業務変更』までつなぐ

プロジェクトを推進するメンバーは、導入の背景や経営的な目的を深く理解しています。
一方で現場の社員は、日々の忙しい業務を止めることなく、トップダウンで降ってくる変化に対応しなければなりません。

この立場の違いから、「説明会で伝えたつもり」「マニュアルを読めば理解しているはず」という致命的な認識のズレが生まれてしまいます。

ポイントになるのは、階層ごとのアプローチ。
プロジェクト開始時には経営層が「なぜ今、変える必要があるのか」を語り、
要件決定時には部門責任者が「何が変わり、何をやめるのか」を整理し、
本番切り替え時には現場に対して「新しい業務を会社の標準とする」という経営の確固たる意思を示す。

これらを行うことで、一方的な導入ではなく納得感のある移行を実現します。

システムを導入するだけでは、会社は変わらない

「システム導入」と「現場への浸透」を切り離して考えてはいけません。
時には、社内オウンドメディアのような仕組みを活用して、プロジェクトの進捗やキーユーザーの成功事例を横展開し、継続的に情報を発信して現場の不安を解消し続けることも有効です 。

そして最後は、システムの利用率やユーザー満足度といったデータを用いて、新しい業務が定着したことを数値で証明する までの徹底した推進設計が求められます。

PMがそこまでを徹底して担うことで、「入れて終わり」のシステム構築から、「確かな成果につながる業務変革」へと生まれ変わるはずです。


システム構築だけでも大変なのに、浸透・定着までを見据えて考えるのは荷が重い……
社内では気付けないようなことも、全体を俯瞰して見る存在が欲しい……

そう思った方は、第三者的に外部からPMの推進力を取り入れることも可能です。

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自社の体制や施策が今どの状態にあるのか、まずは整理・診断するところからでも構いません。
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執筆者

鈴木 克弥

鈴木 克弥

PMO事業本部 第一PMOグループ グループマネージャー

2024年入社。自社PMツール「CheckBack」の責任者としてsaas事業の成長をけん引したのち、PMO事業本部 第一PMOグループ グループマネージャーに就任。
マーケティングに関するプロジェクトを多く担う。

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