試作品止まりの新規事業を最速で収益化へ繋げるためには 担当者を「決断」だけに専念させるPMの伴走術 

記事
馬場 航

せっかく社内に魅力的な技術があり、試作品やデモ動画まで作ったのに、誰の目にも触れないまま静かに眠っていく……。
新規事業の現場で、もっとも勿体なく、そして悲しいのはこの瞬間ですよね。

社内の期待を背負ってスタートし、最新技術を組み込んだプロトタイプが完成したときは、誰もが「これはいけるかもしれない」と胸を躍らせます。
特に、AIやデジタル関連の施策は技術の陳腐化が早いため、迷っている間に競合に先を越されたり、ビジネスチャンスを逃してしまったりする焦りもあります。

でも、大変なのはここから。

「で、これって誰に、どんなパッケージで、いくらで売るんだっけ?」

この問いに対する明確な答えがないまま、プロジェクトは静かに失速していきます。

その理由と、止まったプロジェクトを最速で収益化へと繋げるためにPMとしてどう全体を動かしていくべきか、私なりの視点でお話ししたいと思います。

「兼務だから」と後回しにしていませんか?

なぜ、良い素材があるにもかかわらず、多くの新規事業は売り出しの直前で止まってしまうのでしょうか。

一番よくある原因は、いわゆるリソース不足。
新規事業の推進役が既存の業務と兼務になっているという、ごく当たり前で、けれど根深い構造問題にあります。

日々の売上を作る通常業務や突発的なトラブル対応に追われていると、どうしても目の前の「緊急度の高い仕事」が優先されます。
一方で、新規事業に必要な「ターゲット市場の分析」や「販売スキームの検討」といった思考系のタスクは、時間がかかるため後回しにされてしまいます。

ただでさえ本業で頭が一杯なところに、前例のない新規事業の売り方や仕様をゼロから考え抜く重圧がのしかかる。
その結果、「考える時間がないから、今週も手につかなかった」が毎週繰り返され、1ヶ月、2ヶ月と静かに時間だけが過ぎていってしまう……

心当たりがある方もいるのではないでしょうか。

停滞した新規事業を最速で軌道に乗せるために

止まってしまったプロジェクトを動かし、最短で最初の顧客獲得(収益化)まで持ち込むためにまず必要なのは、「PM」立てること。そこからです。
そして、PMとして私が大切だと考えているのは、「担当者の負担を減らし、意思決定のスピードを上げること」です。 

実際の事例をもとに、そのためにPMがすべきことを具体的にまとめました。

「ゼロからの直販」を諦め、既存顧客を持つ「パートナーとの協業」を狙う

顧客リストがない状態で1社ずつ飛び込み営業(直販)をしようとすると、立ち上がりに膨大な時間と労力がかかります。
そこで私なら、すでに自社のターゲット顧客を大量に抱えている代理店などに協業を持ちかけるルートを優先します。
相手の営業網に乗せてもらうことで、兼務の最小リソースでも最速で市場にアプローチできるようになります。

担当者を「検討・作成作業」から解放し、「選んで決めるだけ」にする

担当者が進められないのは「考える時間」と「資料を作る時間」がないからです。
PMが市場調査や競合比較を行い、「ターゲットの候補」「商品仕様の選択肢」「商談資料のたたき台」をあらかじめ用意します。
週1回の定例会議で、担当者や決裁者に「どれで行くかを選んで決定してもらうだけ」の環境を作ることで、意思決定が一気に加速します。

ニーズの強い「1つのテーマ」に絞り込み、最速でテスト営業へ回す

あれもこれもと欲張らず、法改正の追い風がある分野や、市場ニーズが明確な「最優先テーマ」を1つだけ選定します。
価格や仕様の細かい完成度にこだわりすぎず、まずは数社限定の「テストマーケティング」として顧客に提案し、生の反応や改善点を吸い上げるサイクルを素早く回します。

▼PMを初めて担当する人には、こちらもおすすめです

PMは担当者を「作業者」から「決断者」に変える存在

兼務担当者の最大のネックは「検討や作業をする時間がないこと」にあります。
だからこそ、プロジェクトには「実務を動かすハブ」となるPMの介在価値が生まれます。

PMの仕事は、スケジュールを管理することだけではありません。
「ゼロから考える作業」をPMが引き受け、社内の担当者を「あらかじめ用意された選択肢から選んで決めるだけの存在」に変えてあげること。
この分業体制を作るだけで、数ヶ月間止まっていたプロジェクトが高速で動き始めます。

社内に眠っている素晴らしい素材を、いかに早く市場に出し、顧客の声を聞きながら育てていくかという泥臭い部分……「推進の仕組み」を整えてみてはいかがでしょうか。


「うちにも、形にできず止まっている資産がある」
「年内に成果を出したいけれど、社内のリソースだけではどうしても前に進まない」

そう感じているなら、自前主義で抱え込むのを少しだけやめてみませんか。 
プロのPMが、担当者が「決断」だけに集中できる環境を作ります。

rayoutでは、課題のヒアリングからプロジェクトサクセスシートの作成までを無料で行っています。
自社の体制や施策が今どの状態にあるのか、まずは整理・診断するところからでも構いません。
お気軽にご相談ください。

執筆者

馬場 航

馬場 航

取締役 │ PMO事業本部 事業本部長

2020年3月にボードメンバーとしてrayout株式会社に参画。コミュニケーションデザイン事業部の責任者として事業成長を牽引し、同部門を5億円規模まで拡大。現在は、社内プロジェクトの遂行を支援するPMO事業部の本部長を務め、これまでに500社・2,400件以上のプロジェクトに伴走している。

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