採用活動を進める中で、「エントリーの母数は順調に集まっているのに、なぜか選考途中での辞退が相次いでしまう」と頭を抱えることはないでしょうか。
あるいは、スキルは申し分ない優秀な候補者であっても、自社のカルチャーにうまくフィットせず、結果的に入社に至らないケースも少なくありません。
「理系の女性技術者」「地方の優秀な学生」等、特定の層の応募がどうしても増えないといった偏りに悩む声もよく耳にします。
こうした状況が続くと、採用担当者としては「面接のやり方を変えたほうが良いのではないか?」「スカウトの文面を見直すべきか?」と、手法の改善に走りがちです。
しかし、根本的な原因はもっと別のところにあるかもしれません。
「歩留まり悪化」の根本原因
私たちがプロジェクトを開始する時、最初に現状の棚卸しを行います。
その際に明らかになるのは、現場の社員が面接官として出てきても、自社の魅力をうまく求職者に語りきれていない、そもそも、経営層・人事・現場の間で「本当に欲しい人材」の共通認識がズレてしまっている、といった状況です。
母集団形成という最初のハードルは越えているのに、肝心なところで歩留まりが悪化してしまう。
局所的な改善だけでは打破しきれないこうした「見えない壁」に直面している企業は、決して珍しくないのです。
「1時間の面接」で自社を伝えきれる時代は終わった
現在、求職者が入社の決め手として最も重視する傾向にあるのが「入社後のカルチャーフィット(社風や価値観との合致)」です。
一昔前であれば、採用サイトやナビ媒体の募集要項が主な情報源でした。
しかし今は、求職者側も「企業が用意した綺麗すぎる情報」だけでは等身大の姿がわからないことを知っています。
そのため、SNSや口コミを活用し、よりリアルな情報を自ら探しに行くようになりました。
つまり、企業名を知ってもらう「認知」だけでは不十分であり、「認知と同時に企業のリアルな魅力をどう伝えるか」が採用の優位性に直結する時代になっています。
たった1回、1時間程度の面接で自社のカルチャーを完全に伝えきり、求職者に入社の決め手を見つけてもらうのは至難の業です。
選考に来る前の段階で、いかに求職者に興味を持ってもらい、入社までのストーリーを描けるかが勝負の分かれ目となります。

実際にあった課題と、PMのアプローチ
私たちはこのような課題に対し、局所的な採用実務の代行ではなく、プロジェクト全体を俯瞰して前に進める「PM(プロジェクトマネージャー)」として介入していきます。
今回は実際の例を元に、皆さんにすぐ実践していただける推進方法をお伝えします。
ご紹介する事例は、企業としての認知度は高く、技術職採用の母集団は形成できていたものの、「カルチャーにフィットする人材ほど選考途中で離脱してしまう」「社内で自社のカルチャーを言語化できる人材が少ない」という課題を抱えていました。
求職者にとって、採用ファネルはすべて「1つの繋がったストーリー」です。認知はある程度取れていても、入社を決断させるだけのストーリー立てが不足していたのです。
1. 欲しい人物像と「提供価値」の棚卸し
まず着手したのは「誰が欲しいのか」と「その人に自社は何を提供できるのか」の再定義です。
経営陣や現場のキーマンを巻き込み、曖昧になっていた求める人物像(ペルソナ)と自社の魅力を徹底的に言語化し、社内の共通認識を作りました。
2. 「インナー」も視野に入れた施策の選定
次に、情報を届けるチャネルの検討です。1でわかったことから、社内外に解像度高くストーリーを知ってもらうことが必要だと判断し、今回は2つの案を提案しました。
- 検討案①:既存の自社チャネルをより魅力的にする
- 求職者(アウター)への単発のコミュニケーションとしては成立するが、既存社員(インナー)へのメリットが弱い。
- 検討案②:既存チャネルに加え、オウンドメディアを立ち上げる
- アウター向けはもちろん、インナー向けにも永続的に使える資産になる。
上記から、案②のオウンドメディア立ち上げを選択しました。
カルチャーマッチする人材を採り続けるには、採用して終わりではなく、入社後のオンボーディング(定着)までを見据えたファネル設計が必要だからです。
3. 社員を巻き込み「共感」を生み出す進行
オウンドメディアのコンテンツ制作では、あえて多くの現場社員を巻き込みました。
現場の社員にコンテンツへ出演してもらうことで、これまで言語化されていなかった「自社の新たな魅力」が次々と発見されました。
さらに、制作プロセスを通じて社内の協力者が増えることで、副次的に社内へのカルチャー浸透(インナーブランディング)にも寄与するという好循環も生まれました。

人事領域にこそ、PMの「推進力」が必要な理由
採用におけるエンプロイヤーブランディングは、人事部だけで完結できるものではありません。
現場の社員を巻き込み、情報を引き出し、形にして発信し続けるという、全社横断的なプロジェクトです。
しかし、日々の面接や労務管理に追われる人事担当者が、通常業務と並行してこの「巻き込み」から「実行」までをやり切るのは非常に困難です。
だからこそ、背景をキャッチアップし、タスクに落とし込み、部署を横断して人を動かし、プロジェクトを前に進める「PM」を立てて推進していくことが重要になります。
採用サイトを作って終わり、動画を作って、求人媒体に広告を出して終わり……ではなく、自社の魅力をどう分解して「選ばれる企業」になるのか。
そのストーリーを設計し、社員を巻き込みながら推進していくことこそが、これからの採用活動における最適解です。
「母集団はいるのに採用がうまくいかない」「現場をうまく巻き込めない」とお悩みの企業様は、ぜひ一度、rayoutの「スポットPM」にご相談ください。
現状の採用ファネルのどこにボトルネックがあるのか、一緒に課題を整理するところからサポートいたします。
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