中期戦略の「CX推進」が立ち往生してしまう理由 理念・判断軸なき“見切り発車”を立て直すPMの推進設計

記事
吉田 壮汰

中期経営計画でCX(顧客体験)向上が掲げられ、役員や部門長を巻き込んだ全社体制がスタートしたものの、プロジェクトが思うように進まず悩む担当者は少なくありません。

従来のCS(顧客満足)対応を超えた「感動体験」を作ろうとするとき、なぜ現場は足踏みしてしまうのか?

停滞を打破して組織を自走させるための実践ノウハウを解説します!

停滞の原因は「アイデア不足」ではない。真のボトルネックとは

全社プロジェクトが進まなくなったとき、多くの現場では次のような表面的な課題に目が向きがちです。

  • 「期待を上回る体験」を作るための具体的なアイデアが出てこない
  • メンバーが本業と兼務しているため、実務負担が大きくて手が回らない
  • 社内だけでなく、関係事業者も含めた巻き込み調整が難航している

しかし、「もっとアイデアを出そう」「忙しいから仕方ない」と放置していても状況は改善しません。 

このような停滞に直面した際は、「単にアイデアや人手が足りないのではなく、社内横断で推進し現場に浸透させるための『推進体制・進め方・実行管理』が不足しているのではないか?」という視点で構造を整理し直すことが重要です。

深く現状を紐解いていくと、多くのケースで「そもそも自社にとってのCXの判断軸や評価KPIが定まっていないままスタートしていた」という根本原因に行き着きます。

目指すべき明確なゴールや物差しがない状態で「良い施策を出して」と求めても、現場は何を基準に優先順位を決めればよいか分からず、動きが止まってしまうのです。

立ち往生したCXプロジェクトを立て直す3つのアプローチ

すでにスタートしてしまったプロジェクトでも、推進設計(PM視点)を取り入れることで無理なく軌道修正が可能です。

現場を巻き込みながら自走へ導く3つのステップを実践しましょう。

1. 「自社らしいCX理念と判断軸」を言語化・ツール化する

現場の活動と並行して「自社にとってのCXとは何か」「お客さまに何を感じ取ってほしいか」などを簡潔に言語化します。 

「店内で過ごす楽しさを増やしているか」「自社にしかない価値が提供できているか」といった、施策や日常業務判断の際の共通の問いを整理しておくのも良いでしょう。

さらにそれらをスローガンで終わらせず、日常業務で使える「課題整理シート」「CXガイド・ハンドブック」などの実務ツールへ落とし込むことで、現場が自力で判断できる共通の物差しを提供できます。

2. 「答えを与える」のではなく「問いかけ」で当事者意識を引き出す

各部署を巻き込んでいる場合は、月1回の個別サポート面談などを設定し、事務局側から一方的に指示を出すのではなく、「今月は何に取り組み、何が分かったか」「顧客視点では何が課題だと思うか」「次回までに何をするか」と問いかけます。 

兼務メンバー自身に進め方や課題を言語化させるプロセスを挟むことで、人任せの姿勢から「自分ごと化」への変化を促せます。

3. 節目のワークショップを設計し「横の連携」と「熱量」を生み出す

一度きりのキックオフで終わらせず、「キックオフ」「中間報告会」「年度成果報告会」といった年間の節目となる場をあらかじめ設計しておきます。 

他チームの取り組みや成果を共有し合う場を作ることで、自然な横連携が生まれ、「自分たちも成果を出そう」という良い刺激と熱量が組織全体へ広がります。

全社を動かし自走させるために

全社を巻き込むCXプロジェクトをスムーズに機能させるためには、タスクを以下の3つの領域に整理し、バランスよく並行して進めることが成功の鍵となります。

① 各チームの活動促進

担当メンバーがCXを自分ごと化し、課題発見から実行まで自発的に進められる状態を作る
・キックオフWS、中間/成果報告会の開催
・月次の伴走サポート面談の実施
・チーム別WBS(工程表)の作成と進捗管理

② CXの定義・ツール化

社員が日常業務でCXを判断・実践する際に共通して参照できる軸とツールを整える
・CX理念・判断軸・評価基準(KPI)の策定
・課題整理シート・WBSフォーマットの整備
・CXガイドブックの作成

③ 全社員に向けた意識向上

一部メンバーだけの取り組みにせず、全社員が自身の業務とCXのつながりを理解する
・全社員向けCXワークショップの実施
・成功事例や現場の改善エピソードの発信
・職種別のCX実践例の整理

現場が動く環境を整えよう

プロジェクトが停滞した際、「アイデアが出ない」「メンバーの時間の問題」と表面的な事象だけを追っていても根本的な解決にはつながりません。

「推進体制や進め方に問題があるのでは?」という視点で構造を整理し、判断基準の不足という根本原因を解消することで、組織は再び動き始めます。

目先の施策出しを急かすのではなく、チームが迷わず動ける共通の判断軸を提示し、現場の自発的なアクションを支える伴走型の推進体制を整えていきましょう。


もし自社だけでは絡み合った論点を整理しきれず、社内調整や推進管理が手に負えないと感じた場合は、客観的な視点とノウハウを持つ「第三者のPM」をチームに迎え入れることを検討してみてはいかがでしょうか。
プロの推進力を借りることで、立ち往生していたプロジェクトが驚くほどスムーズに動き出すはずです。

rayoutでは、課題のヒアリングからプロジェクトサクセスシートの作成までを無料で行っています。

自社の体制や施策が今どの状態にあるのか、まずは整理・診断するところからでも構いません。

お気軽にご相談ください。

執筆者

吉田 壮汰

吉田 壮汰

rayout株式会社 代表取締役

rayout株式会社 代表取締役。広告営業や経営者への取材・ライティングを経験したのち、26歳で動画制作のクラウドソーシング事業を行う企業にて執行役員に就任。事業を立ち上げ、4億円規模まで事業責任者として携わる。2019年にrayout株式会社を設立。社内プロジェクトの遂行を担うPMO事業を展開し、500社・2,400件以上のプロジェクトに伴走。

一覧へ戻る

おすすめ記事

一覧へ戻る