全国の店舗や拠点へ新しいシステムやツールを順次導入していくプロジェクト。
経営統合や業務効率化といった大きな目的に向かって進む一方で、現場では「特定の知見のある担当者1人に負担が集中してしまっている……」という悲鳴がよく上がります。
多拠点への順次展開では、各部門との事前調整から現場での説明、当日の立ち会い、新旧データの付け合わせ(突合)、トラブル対応まで、膨大な実務が発生します。
「その人が体調を崩したらどうするのか」「他の優先案件と重なったら止まってしまうのでは」とは思いつつ、対策はできていないという状況は多いのではないでしょうか。
だからといって、簡単に他の人に任せるわけにもいきません。
こうした状況を打破するには、全体を俯瞰して構造を整え、担当者の手を空けるための仕組み作りを担う「PM」の存在が不可欠になります。
では、特定のキーパーソンに依存しきった状態から脱却し、複数の拠点をスムーズに切り替えながら“担当者がいなくても回る組織”へ変えていくために、PMとしてどうプロジェクトを推進していくべきか?
今回の記事で解説します。
特定担当者の肩にすべてがのしかかる「ワンマン依存」の構図
多拠点展開の現場でプロジェクトが停滞するとき、よく見られるのが以下のような状況です。
事前調整から当日の立ち会い、データの突合確認まで「すべて1人」でこなしている
現場の仕様を把握している優秀な担当者に業務が集中し、その人自身が分身しない限り、複数の拠点を並行して進められない状態になっています。
担当者に他案件が入った途端、順次切り替えがピタッと止まる
展開期間が長期に及ぶなかで別の優先施策が重なると、キーパーソンのリソースが一瞬で奪われ、既存店の切り替えスケジュールが後回しになってしまいます。
ノウハウが担当者の頭の中にしかなく、他人に作業を振れない
「何をどの順番で調整し、当日にどこをチェックすべきか」という手順が標準化されていないため、他のメンバーへ引き継ぐこともできず、属人化の悪循環にハマっています。

プロジェクトを自走へ導く「PM推進ロードマップ」
今回のPMの役割は、ただ「進行状況をチェックすること」ではありません。
キーパーソンを実務に囚われている状態から解放し、誰が担当しても同じクオリティで展開が進む「再現性のある仕組み」を構築することです。
PMとしてプロジェクトを自走させるためには、以下のステップで推進していきます。
1. 現状整理と「役割定義」の明確化
まずは全拠点のリスクや優先順位を棚卸しし、プロジェクトの全体像を整理します。
ここで重要なPMのアプローチは、担当者を「実務者」から「最終承認・監修」へ位置づけ直すこと。
各部門との日常的な調整や定例会議の進行、ベンダーコントロールといった「推進実務」をPM側が引き受けることで、担当者の手を物理的に空ける体制を整えます。
2. 依存関係を可視化した「全体計画」の策定
「どの拠点から順に切り替えるか」「機器の連携や設定にどの部門の協力が必要か」といった依存関係を網羅した全体WBS(工程表)を作成します。
担当者が動くべき他案件との日程衝突を事前に洗い出し、無理のないスケジュールを設定したうえで関係各所と合意を形成します。
この計画を定例会議で継続的に更新・共有していくことが、調整漏れを防ぐ鍵になります。
3. 実行と「プロセスの標準化(型化)」
実際の切り替え作業やデータ突合に立ち会いながら、現場で発生する課題や確認事項を吸い上げていきます。
その知見をもとに、当日のチェックリストや各部門のタスク割当、よくあるトラブルのFAQなどをドキュメント化(マニュアル化)します。
手順を型化することで、現地サポートや現場対応を担当者以外でも再現できるようにします。
4. 後任への引き継ぎと「自走化」の完了
標準化したマニュアルを運用し、次拠点以降の切替作業を後任メンバーや現場主導へ段階的に移管していきます。
OJTを通じて実務を引き継ぎ、元の担当者が直接関与しなくてもプロジェクトが回る状態(レビューのみで運用できる体制)を完成させます。
まとめ:多拠点展開のゴールは「担当者なしで回る仕組み」を作ること
特定の優秀な担当者1人が頑張ってプロジェクトを回している状態。
一見すると順調に見えるかもしれませんが、実はいつ崩れてもおかしくない、非常にリスクの高い状態でもあります。
「自分がいなきゃ回らないから」と担当者自身が抱え込んでしまう気持ちも、誰かに任せるのも逆に面倒だと感じてしまう気持ちも分かります。
でも本当に目指すべきは、1人がスーパーマンになることではなく、誰が担当しても同じクオリティで拠点展開が進む「再現性のある仕組み」を作ることです。
「やり方は分かっても、そんな仕組みを作る時間すらない」と感じる人もいるでしょう。
まさに、この「改善するための時間すら取れない」という状態こそが、属人化の最も深刻な問題です。
だからこそ、自社内だけで無理に解決しようとする必要はありません。
絡み合った業務を第三者の視点で解きほぐし、マニュアル化や進行管理を横から支えてくれる「外部のPM」をチームに迎え入れるという選択肢があります。
信頼できるPMをパートナーに据えることで、現場の立ち往生を解消し、キーパーソンを救い出しながら、組織全体でスムーズに横展開できる体制を整えていくことができます。
rayoutでは、課題のヒアリングからプロジェクトサクセスシートの作成までを無料で行っています。
自社の体制や施策が今どの状態にあるのか、まずは整理・診断するところからでも構いません。
お気軽にご相談ください。