離職率が高く、エンゲージメントサーベイを実施してみているものの、社員がなぜ辞めてしまうのか『本当の理由』が掴めず悩んでいる人事の方に、よくご相談いただきます。
人事や組織開発に携わる方なら、一度はそんな経験があるのではないでしょうか。
特に、来年4月の新体制稼働や評価制度の刷新を控えている企業では、「年末までに具体的な離職防止策やエンゲージメント向上施策を固めなければならない」という焦りを抱えている時期かと思います。
けれど、サーベイを実施しても「スコア」が出るだけで、そこから具体的な改善策へどう繋げればいいのか分からず、立ち往生してしまう。
それでプロジェクトが止まってしまい、弊社にご依頼をいただくことがあるんです。
なぜサーベイを取っているのに、本音が見えず、施策が進まないのか。
資料から見えてくる問題の本質と、それを突破して来期に向けた組織改革を成功させるためのプロジェクト推進術をお話しします。
なぜ、サーベイを取っていても「打つ手」が見えてこないのか
「離職を防ぎたい」と本気で考えているのに、プロジェクトが停滞してしまうのはなぜなのでしょうか。
実際の事例をもとに、よくある背景や原因を解説します。
サーベイの「数値」と「本音」の間に深い溝がある
サーベイの定量的データからは、例えば「満足度が低い」という結果は分かっても、「日々の実務でどんなギャップを感じているのか」「将来のキャリアにどんな不安を抱いているのか」という具体的な理由は見えてきません。
サーベイ結果をどう分析し、社員からどう本音を引き出すかというヒアリングと課題抽出がができていないため、数字を眺めるだけで終わってしまうことが多いです。
「事業部間の壁」により、若手が自社での将来像を描けていない
例えば、海運事業と不動産事業のように異なる領域を展開している企業では、部門間の交流や相互理解が不足しがちです。
若手からすると「隣の部署でどんな仕事が行われているのか」「他部門へキャリアを広げられるのか」が見えず、自社で長く働くキャリアパスを描きにくくなります。
この事業間の縦割が、若手の孤立感やエンゲージメント低下に拍車をかけていることが多いです。
「全社での制度改定」と「現場の施策」が分断されている
経営主導の人事制度改定と、現場の離職防止策が別々に走り、互いに噛み合わなくなっている場合もあります。
現場の本音を無視して新制度を作っても離職は止まらず、かといって新制度と無関係な飲み会や研修を打っても一過性のイベントで終わってしまいます。
トップダウンとボトムアップをどう接続させるかの全体設計が描けていないのです。
本音を可視化し、組織を動かすには
サーベイのスコアを一喜一憂して眺めているだけでは、離職率は変わりません。
大切なのは、数値の裏側にある現場の声を汲み取り、期日までに経営陣と現場の双方が納得する具体策へと落とし込むことです。
そのために私たちが実際に実践したアプローチをいくつか紹介します。

評価ラインから切り離した、心理的安全性を担保する社内ヒアリング設計
社員に直接声を聞こうと、ヒアリングを行うこともあるでしょう。
その際、最大の障害になるのが「評価への影響」や「直属の上司への配慮」です。
ここを解消するために、日常の評価ラインから完全に独立させたプロジェクト体制でヒアリングを設計します。
質問項目を「個人への不満」ではなく「業務プロセスのギャップや将来の希望」に絞り込み、収集した意見は個人が特定されない形で構造化・テーマ化する。
社内だからこそ「言っても不利益にならない」という安全な場とルールを設計することで、若手の真の本音を引き出します。
部門間理解を深め、キャリアの選択肢を示す横断施策の企画
事業部ごとの縦割りを壊し、若手が自社での可能性を感じられる仕組みを作ります。
各部門の業務や魅力を知る事業間交流の機会や、上司と部下の信頼関係を深めるコミュニケーション施策を具体化。
自社の中でどのように成長していけるかという将来の道筋を可視化します。
現場の本音を新評価制度の運用ロジックに組み込む
若手ヒアリングから見えた「評価への不満」や「上司との対話不足」といったリアルな課題を、評価制度の具体的な運用ルールや評価項目(例:1on1の運用や他部門理解の評価等)に反映させます。
現場施策を単発イベントではなく「新制度を現場に定着させるための必須プロセス」として一本のストーリーで提示することで、大きな意味を持つプロジェクトになります。
数字の向こうにある「本当の声」に向き合うために
エンゲージメントの向上も、若手の離職防止も、最後は「一人ひとりの社員と誠実に向き合うこと」から始まります。
サーベイの数値に振り回される日々は、もう終わりにしましょう。
机上で悩みこむだけでなく、「本音に向き合う体制づくり」から始めてみてください。
一人ひとりの社員が自社での将来に希望を持ち、生き生きと働ける組織へと変えていく。
そのための第一歩を、踏み出していきませんか?
社員の本音を引き出すには、社員ではない第三者が入るのも効果的です。
第三者としてプロのPMが入ることで、中立な立場としてのヒアリングが行えるだけでなく、ヒアリングの設計手法やサーベイ分析の視点、関係部署や経営陣を巻き込む推進プロセスが「社内の型」として人事チームに残っていきます。
一時的な対処療法で終わらせず、今後も組織自ら課題を発見し改善していける「自走する仕組み」を構築することができます。
rayoutでは、課題のヒアリングからプロジェクトサクセスシートの作成までを無料で行っています。
自社の体制や施策が今どの状態にあるのか、まずは整理・診断するところからでも構いません。
お気軽にご相談ください。